環境開発工業株式会社様
現場の所作を、視覚言語に翻訳する
グループ統合を契機に、創業以来の行動原理を言語化し、ロゴ・カラー・タイポグラフィ・運用規定までを一体で再定義。属人的だったブランド表現を、誰でも再現できるガイドラインとして資産化。

「伝える意志」はある。足りなかったのは、再現できる設計言語
環境開発工業は、廃棄物の収集運搬から再資源化までを一貫して担う企業です。
産廃業界には3K・5Kといったネガティブなイメージがつきまとう中、同社は2022年のWebサイト全面リニューアルを皮切りに、社員コラムの連載やSNS発信など、自社の仕事の価値を自分たちの言葉で伝える取り組みを積み重ねてきました。正式な広報部門がない中で、役員自らが「見せ方」「伝え方」を主導する。その姿勢そのものが、この会社の特異性です。
しかし、伝える意志と実行力があっても、ブランドの視覚表現には体系がありませんでした。ロゴの色やサイズは媒体ごとにばらつき、設計意図の記録もない。創業以来の行動原理——事実に基づく判断、再現できる手順、継続的な更新——はしっかり現場に根づいているものの、ブランド資産に関しては言語化も視覚化も十分になされていない状態です。
2025年10月の富士ユナイトホールディングス設立は、この状況にさらなる圧力をかけました。グループ各社のブランディング支援が同時進行する中で、環境開発工業としてのアイデンティティを改めて定義し、グループ内での識別性と一貫性を両立させなければなりません。表現の基盤が属人的なままでは、発信が増えるほどブランドが拡散するリスクがありました。発信力のある組織だからこそ生じる課題です。

行動原理の抽出から、運用可能な設計言語へ
事業の本質を言葉で定義したうえで視覚体系に変換し、さらに媒体を問わず再現可能な規定に落とし込む。3段階の変換プロセスで設計しています。
事業構造と発信文脈の読解
事業領域・サービス構造・組織の意思決定パターンに加え、同社が自ら発信してきたコラムやWebコンテンツを読み解きました。法令・安全・コスト・納期の充足、プロセスの数値化と説明可能性、ワンストップの実行力——これらを行動規範として構造化し、ブランドナラティブとコアメッセージに集約しています。
ブランド言語の設計
抽出された行動原理のうち、視覚表現に最も強く接続できる概念として「合理性」を選定しました。装飾を排し、再現性を優先し、説明可能な状態を保つ。この姿勢そのものをデザインの判断基準に据えることで、ロゴ改訂・カラー選定・書体選定のすべてに一貫した根拠を与えています。
視覚体系と運用規定の実装
ロゴバリエーションの用途定義、WCAG準拠のコントラスト計算に基づくカラー使用ポリシー、印刷・Web双方に対応するタイポグラフィ規定、ユニフォームへのロゴ適用仕様まで、「なぜそうするか」の根拠を伴う形で規定化しました。ガイドラインは制作会社・印刷会社が即座に参照できる実務文書として設計しています。
ナラティブとアイデンティティの再定義
コアメッセージとブランドアイデンティティは、既存のものを活かしつつ、「今」の同社をあらわす言葉で再編。
受け継いでいくべき価値と、変化させ、進化させるべき価値を客観的に定義した。



再現可能な判断基準を、一冊に実装する
ブランドガイドラインは、「判断装置」として設計しました。ナラティブとコアメッセージがブランドの「なぜ」を定義し、ロゴ規定・カラー規定・タイポグラフィ規定・アプリケーション規定が媒体ごとに「どう使うか」を定義します。
カラーシステムでは、8色の抑制されたパレットをBrand Navy #112957を基点に構築し、コントラストポリシーをWCAGコントラスト比で裏づけています。タイポグラフィはロゴ書体(新ゴ/Futura)のジオメトリック特性を軸に、Web用書体としてNoto Sans JP/Outfitを選定しました。いずれも「なぜその色か」「なぜその書体か」をガイドライン上で説明できる状態にしています。
ユニフォームへのロゴ適用では、配置位置・色指定・禁止事項・発注手順までを規定し、制服メーカーがガイドラインだけで判断・制作できる水準を目指しました。発信力のある組織が、表現の一貫性を属人的な確認なしに維持できる——「合理性」という設計原理が、運用んのプロセスでも実現できるよう配慮しています。


