富士ユナイトホールディングス株式会社様
ホールディングス化を起点にグループの「旗印」を設計する
化石燃料事業と脱炭素——変化と安定という相反する価値を内包する企業の本質を、「しなやかさ」という概念で統合。グループ会社横断のワークショップを経て、コアバリュー・タグライン・ロゴ・BIガイドラインを一貫して設計。

変化が必要だが、変えてはいけないものもある
富士興産からの社名変更・ホールディングス体制への移行。組織の器は変わりましたが、この案件の本質的な難しさは、社名やロゴの刷新ではありませんでした。
化石燃料を中心とした既存事業と、脱炭素・再生可能エネルギーへの社会的要請。社会インフラを担う企業の使命としての「安定供給」と、市場からもとめられる「変化への対応」——HD化を前に変化と安定という本質的に矛盾する価値を同時に体現しなければならない構造を抱えていました。
「変革」だけを語れば既存事業の責任が消え、「安定」だけを語れば変化への意志が見えない。片側に寄ると、企業のDNAがなくなってしまう。
加えて、グループ4事業会社(富士興産・環境開発工業・富士レンタル・富士ホームエナジー(※当時))はそれぞれ異なる事業領域で強みを持ち、独自のブランドイメージを持っていました。「統一感」と「各社の独自性」を両立させながら、ホールディングスとしての求心力を言語化し、可視化することが求められました。

矛盾を統合して新たな価値を定義する
グループ会社横断のプロジェクトチームとワークショップを重ね、それぞれの事業領域が持つ強みとシナジーを構造化。そこから導き出した問いは「この企業は、何を変え、何を変えないのか?」でした。
グループ横断の価値の棚卸
HD経営層とグループ会社4社にヒアリングシートを配布・回収し、各社のブランドイメージ・ビジョン・ロゴ要望を構造化。ワークショップを通じて「変わるもの(社会の要請、エネルギーのあり方)」と「変わらないもの(社会基盤としての責任、供給の信頼性、誠実さ)」を分離。
「しなやかなアンビバレンス」の発見
分析を統合して見えてきたこの企業の本質——動的(変化・進化)でありながら静的(安定・供給)でもある「しなやかなアンビバレンス」。ここから3つのコアバリューを策定し、タグライン「変わる明日を、しなやかに支える」を導出。"柔らかいが強い"というトーン設計が鍵でした。
矛盾の統合をロゴに翻訳する
CIで発見した二面性を、ロゴの造形言語に翻訳。流れる旗型のシェイプ(変化・動き)と円環(安定・循環・基盤)を組み合わせ、富士興産のDNAである「F」と「炎」を織り込んだシンボルを設計。カラーパレット、タイポグラフィ、グループ各社の使用確認フローまでをBIガイドラインとして資産化。


成長をつづけるグループ全体の共通資産として
ワークショップで見出した「しなやかなアンビバレンス」を起点に、コアバリュー・タグライン・ロゴ・カラー・タイポグラフィ・運用フローまでを一体で設計。グループ全事業会社が統一的に運用できる基盤として実装しました。
積極的なM&A戦略で成長を続ける同社においては、PMIプロセスにおけるブランド資産の扱いも重要な論点でした。新たにグループインする企業が持つ固有のブランドアイデンティティを阻害せず、ホールディングスのシンボルがまさに「旗印」として共存する——そのための色、形、運用ルールを、拡張性を前提に設計しています。





